「犬ですね!」
「それはアヒルだよ、鶴ちゃん」
動物の飼育係なんて高校になってもあるんだね。とぼんやり呟く隣の友人。とってもおっとりとした性格で、ふわふわして
いて掴み所の無い私の友人はデッキブラシを手にさっそくアヒルさんとやらの小屋の掃除を開始です!うんしょうんしょと
可愛らしい掛け声にあわせてゴシゴシ床を擦っていく横で私はそれを水で綺麗さっぱりと流していきます。クラスの係り決
めでじゃんけんに負けてしまった私達は、放課後になって、さっそく校庭の隅にある動物小屋へとやって参りました。動物
さんがたくさんいますが、ウサギさんがこけこっこー!と鳴いていて少し頭にガンガンと響いて困ります。が、めげません
よ☆
「つるちゃーん。お水流してー」
「はい!バーンと行きますから、除けてくださいね☆」
「はーい」
アヒルさんのあれやらそれやらで汚れていた地面も、私の友人のおかげでぴっかぴかのつんつるてんです!あ、あれ?少し
違うような。まあいいでしょう。私はちょろちょろと出していた水の量を変えて来ようと、一旦その場にホースを置き、蛇
口を捻りに行きました。が、きゅっと捻ったその瞬間!なんと友人の足元においてきたホースが暴れ出してしまったのでし
た!!ばしゃあ!と派手な音を立てて友人の制服を直撃ですっ!
「わわわ!」
「ひええっ!と、止まりません〜!!」
大急ぎで捕まえようと、ぶるんぶるんと暴れるホースを二人で躍起になって追いますが、これがしぶとい!ホースは尾を巻
き身をくねらせ、捕まるまいとして逃げ回ります。追いかけ走り回る私達につられたのでしょうか、アヒルさんたちも忙し
なく追いかけっこを開始。白い羽が飛び散り、鳴き声が反響し、せっかく掃除した檻の中もまたぐちゃぐちゃです・・・。
あーあ。「おいおい・・・。何やってんだ、お前ら」突然動きを止めたにっくきホース。声がしたほうを振り返れば、蛇口
の上に手を置いた長曽我部元親の姿が!校内の風紀を乱すにっくき海賊・・・ではなく。不良がこんな所に何の用でしょう
!怒りと共に睨みつけてやりますが、不良が口にしたのは私の後でびしょ濡れになったスカートの端を絞る友人についてで
した。
「なんだ?鶴の字、お前友達なんか居たのか」
「まあ、しっつれーいしちゃう!海賊なんかに言われなくとも、私にだって素晴らしい友達の一人くらいいますよーだ!
大きなお世話!」
いーっだ!!と歯を見せて威嚇をしてやります。長曽我部元親はふん!と鼻で笑っていなしましたが、悔しそうに奥歯を噛
み締めているのを見逃しはしませんよ。ふふん、いい気味です! 「ね、さん!」「ね、鶴ちゃん!」
髪の毛を握り水滴を絞っていたが私の話にあわせてくれました。
突然話を振られても動揺せず返す事が出来る友人の姿はさすがです!私も見習わなくてはいけませんね!
「変ったやつだな・・・」
「は私の友人です!手を出したら許しませんからね!」
「誰が小娘を相手になんかするかよ!」
「それならしっしっ!二度との前には現れないでください!」
そう言って追い払うと、海賊・・・じゃなかった。不良が尻尾を巻いて逃げていきました。その背中が完全に見えなくなっ
たのを確認して、私はそっと
を振り返ります。
「私のせいで濡れちゃいましたね・・・。すみません」
「んーん。今日はあったかいから、丁度いいよー」
そう言うと、制服のリボンを外して私の顔にかかった水滴をぬぐってくれました。長曽我部君って大きいねー初めて見たー
なんてのんびり言う彼女はいつものように自分ワールド全開!でとっても可愛いです。
「うん、これでよし」
「はわわ・・・!リボンが濡れてしまいました・・・!洗って返します!」
「えーいいよ、これくらい」
「で、でも・・・!」
「歩いてたら乾くよ。だから一緒に帰ろうね」
「ははは、はい!!それはもちろんです!」
えへへ、嬉しい。
へにゃり笑う彼女に、私は今日も胸きゅん☆です!
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小指を噛むやくそく
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